Case

腰痛

腰痛の4つの症例


ケース1 / Hip spine syndrome (股関節ー腰痛症候群)


概説

デスクワーカーに最も多く見受けられるケースであり、もちろん一般の腰痛者にも共通する点もあります。
本ケースは腰を曲げたら痛む又は、座り姿勢により痛みの増幅がみられ、歩行や立ち姿勢では痛みが減少しやすい等の症状が特徴の一つです。
座り姿勢の際に腰が丸く猫背になる。骨盤が後傾(後ろに倒れ)する。真っ直ぐにし難い。脚を組んだら猫背になる。正座したら痛くない。など、慢性化しても軽症例のうちは痛みにパターンがあります。
デスクワーカーを参考にすると、股関節が最低90°(骨盤後傾を除き)は必須となります。
自動車運転者ではペダル操作を考慮するとおよそ120°以上が有利とみられます。
股関節さえ曲がれば骨盤と腰椎を真っ直ぐに起こすことが出来、腰の猫背が骨盤から改善され、腰痛負荷から解放されます。

原因

股関節の曲がる角度に可動域制限が隠れていることが多く、股関節のぶつかりが関節内で起こり、それ以上の曲がり角度は骨盤が後傾し且つ腰が後弯してしまい、椅子に真っ直ぐに座っているつもりでも腰は必然的に曲がり、弯曲負荷を受け続けてしまいます。
股関節に病変が隠れているケースが当施設では最も多く見受けられ、更に股関節インピンジメント症候群(FAI)を伴うケースが見つかることが多くあります。
股関節が曲がらない原因には、徒手医学の関節弾力検査から導き出される分類に、単なる筋肉が硬い筋性パターンから、関節性(弾力減少)もあれば、骨性(変形による関節の狭小化)等がありますが、更に当施設では末梢神経の滑走性の低下による神経性パターンを評価項目に追加して分類されます。

施術方法

先ず股関節可動域制限の制限因子除去を行います。
股関節のインピンジ(挟み込みや内部のぶつかり)がみられるケースでは先ず神経の操作から行います。
下腿の神経の最も滑走が低下しやすくなるポイントに超音波を照射し促通させます。多くのケースではここで下腿部にstiffness(しこり)が見受けられる事があり、滑走の妨げとなる際は超音波照射にて改善を図ります。
超音波神経操作により促通が完了次第効果を確認して頂けます。
筋性に対してはストレッチを行いますが、もちろん筋肉内、筋肉間の末梢神経のテンンションが高いケースでも徒手神経操作によりストレッチ痛のブレーキを解除してからリリースを行います。この操作により即時に柔軟性の獲得を確認頂けます。
関節性の症状であれば関節モビライゼーション及び神経モビライゼーション操作を行います。
トラクションベルトを使ったテクニックにより無痛にて関節包(靭帯含む関節を包んでる強靭な袋)の拡張手技を行います。股関節の可動域制限除去後に後傾し開いた骨盤を前傾に修正し締め込みます。
腰椎に対しては、前弯方向の弾力を付けるストレッチ等の、前弯抵抗因子の除去操作を施します。

ケース2 / 反り腰パターン hip spine


概説

ケース1とは対照的に股関節が後方に反れなく、代わりに腰の前弯(反り)が強くなるケースで、仰向けに寝た際に腰が自然に反り返って床から浮いてしまい痛みが出る状態や、直立姿勢では反り腰出っ尻などが特徴的となります。腰を曲げたりしゃがんだりすると痛みが緩和されることでしょう。骨盤から股関節、大腿前面の牽引力による発生する腰痛ケースとして紹介します。

原因

股関節の前面の硬さに問題があり、座る事が多いうちに前面が固まり関節拘縮(癒着等)が隠れている関節性であるか、太腿前面の筋肉群が硬く短縮し伸びなくなった筋性の症状であるか、神経の走行上に引っ掛かりやルートを狭める因子が隠れていて、反射的に筋肉の伸張にブレーキがかかり股関節及び大腿前面が短縮又は伸張出来なくなっている神経性の制限であるか、それに伴い複合的に制限因子が重なるか等もあります。
更に、器質的に腰椎が前方に逸脱し、いわゆる滑り症となってしまったケースでは腰椎の関節そのものが破綻し、靭帯等の制御するものが緩くなり伸びてしまい、軽度の牽引作用でも反り込んでしまうパターンもあります。
腰椎一つの分節が緩いケースでは、その隣接する上下の関節が動かない又は固い、後方凸のアライメントがみられる等もファクターの1つと言えます。
股関節や腰でもなく、極度の背骨(胸椎)が後弯しているケースいわゆる猫背状態で背中を真っ直ぐに出来ないケースもファクターとなりますが、病的を除き若年にはあまりみられません。

施術方法

先ず股関節可動域制限の制限因子除去を行います。ストレッチやアライメントの修正に際し、末梢神経性の抵抗が強い例では、超音波を使った技法にて神経抵抗を除去し、関節や筋肉のストレッチの痛みや硬さを除去してから、股関節の関節包(関節の袋及び靭帯組織)前面の伸張を関節モビライゼーション法にて行います。
筋性の例では筋肉の短縮をストレッチ手技にて行います。
股関節が正常可動域かつ良アライメントに到達次第腰椎アライメントの改善を確認して頂けますが、腰椎に不安定性、関節がグラグラ(loose joint)を伴うケースであるならば、隣接関節の角度及び弾力調整を加えます。これは、無理な矯正手技(むやみに受けたボキボキ矯正)や放置期間が長期に及んだケースや、本質的に関節が全身緩いタイプにも見受けられますが、障害をきたしている関節が緩くて可動性過大(hyper mobility)がある関節の上下の何れに相対的に動きが乏しい関節(hypo mobility)が存在していれば、その分節に対して可動性を持たす事により、緩い分節の稼働分を分配させる事ができます。
この操作により腰椎の配列特性を〈固い+緩い+固い〉→〈軟かい+緩い+軟かい〉【図参照】の組み合わせに変えてしまえば、真ん中の緩い分節の動きは緩和されます。

ケース3 / 狭義のhip spine
股関節変形性関節症又は股関節の障害を伴うケース


概説

股関節片側に著名な病変または障害を伴うケースでは、歩行時や椅子に座ることや、就寝時でも骨盤の傾斜を伴い、腰椎に波及するケース又は両側に著しい股関節の病変が存在する際も、股関節の動きを骨盤や腰椎が代償的に動き、牽引力を受け続けるケース。変形のグレードにより影響は異なり、進行度合によっては徒手療法の範囲を超えるケースもあります。

ケース4 / Lumber Facet syndrome (腰椎椎間関節症候群)


概説

日常的によくみられるケースで、急性のケースでは重たい物を持ち上げた際や、腰を曲げる、捻る等の動作で発生しやすいですが、ケース1のデスクワーカーのhipspine症候群等の股関節に可動域制限を伴った状態で潜在的に腰の関節を曲げている負荷が蓄積し、軽微な外力により症状完成に至る事も多いです。
本ケースはぎっくり腰とは区別されますが、急性腰痛として一般的です。

原因

腰椎の椎間関節に離解負荷を受け発症し、腰の椎間関節と呼ばれる関節の一箇所に負荷が集中することで容易に起こります。一度緩くなった関節の再発リスクは高く、関節のズレを矯正しても再度元の不良アライメントに戻される事も多く見受けられます。
これは、放置期間が長いと単に関節が後方に緩くなり、前方への可動性が欠如してしまい、関節の前後方向の可動性は相対的に後方シフトが優位に働くケースであるからと考えますが、ここまでは筋肉や関節のみだけでの評価から導き出されるものとします。
当施設では離解が生じている椎間関節から出ている末梢神経の及ぼす作用を評価対象とし、筋肉の間の狭い箇所を幾つか通過するに当たり、滑走の悪い箇所があればテンションを脊髄が感知し、特有のズレ方を生じるとして、そこを解放すると整復に至ります。

補足

末梢神経はテンションを感知し、引き伸ばされることを避けようと作用し、末梢に滑走性が悪くテンションのかかる箇所があると、中枢側も防御するかのように硬くなり、神経同士が引き伸ばされないように近づこうとする様な形を取る作用が不良アライメントを惹起していると捉え、神経のテンションや滑走性の改善と同時にズレやアライメントが整復される事が確認されたため、神経操作は有効且つ必須と考えられます。
当施設では2018年頃より、1b抑制、ゴルジ反射、神経滑走を同時に作動させる超音波手技を独自に考案し、下腿からの神経操作による腰椎関節アライメントの整復を実用化し、現在も技術の更新と研究を続けております。

施術方法

下腿の神経滑走不良箇所(stiffness)に対し、神経にテンションをかけたポジションにて超音波照射し、末梢神経を利用し遠隔操作にて整復を図ります。ストレッチ手技等により神経の滑走を促通させます。関節の弾力不足又は関節拘縮等がある関節性に対しては関節モビライゼーション法にて整復を図リます。関節の緊張や痛みの強いケースでは患部に超音波にて振幅特性を活かした照射比率で除圧法を行います。
患部が第四~五腰椎(3/4間含む)については、骨盤と腰椎が腸腰靭帯により連結している為、骨盤(股関節含む)の牽引作用を考慮し、骨盤を締め込む様に角度を調整します。必要に応じテーピングにて緩くなった部分に貼り、脊柱の動きの配分に変化を図ります。

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